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疾患iPS細胞を用いた世界初の
細胞性免疫による下垂体疾患の試験管内モデルの樹立

要点

 奈良県立医科大学 糖尿病?内分泌内科学講座の高橋裕教授を中心とする研究グループは、世界で初めて疾患iPS細胞を用いた細胞性免疫による下垂体疾患モデルを樹立しました。

概要

 奈良県立医科大学、糖尿病?内分泌内科学講座の高橋裕教授、京都大学(iPS細胞研究所)、蟹江慶太郎研究員、伊藤剛研究員、金子新教授らの研究グループは、世界で初めてとなる疾患iPS細胞を用いた細胞性免疫による下垂体疾患モデルを樹立しました。

 これまでに高橋教授らのグループは新たな下垂体疾患である「抗PIT-1下垂体炎」を発見しその発症機序を明らかにしてきました。抗PIT-1下垂体炎は後天性に成長ホルモン、プロラクチン、甲状腺刺激ホルモンの3つの下垂体ホルモンが特異的に障害される疾患です。転写因子PIT-1はこの3つのホルモンを産生する上で必須のタンパクであり、この疾患の原因として、合併した悪性腫瘍あるいは胸腺腫に異所性に転写因子PIT-1が発現して免疫寛容の破綻が生じ、PIT-1を認識する細胞傷害性T細胞が産生され自己免疫的機序によって下垂体を傷害する可能性が示唆されていました。

 これまでこのようなT細胞が主体となる細胞性免疫による自己免疫疾患の疾患モデルの作成は非常に困難でした。それは細胞性免疫では患者固有のHLA抗原によってその抗原エピトープが提示される必要があり、患者と異なるHLA抗原を持った培養細胞や動物細胞を用いることができないからです。今回の研究では、まず患者の末梢血から作成したiPS細胞を用いて試験管内で患者と同じHLA抗原を持った下垂体を作成しました。さらに末梢血には様々な種類のT細胞が混在していますが、その中からPIT-1に特異的に反応する細胞傷害性T細胞を選び出して、共培養系による疾患モデルを作成したところ、試験管内で特異的な下垂体細胞傷害が再現されました。また関連したエピトープ、HLA抗原も明らかにすることができ、ステロイドや免疫抑制剤の投与によって進展を防止できることも明らかになりました。

 今回の研究によって、抗PIT-1下垂体炎が確かに細胞傷害性T細胞によって引き起こされることが証明され、その詳細な発症機序が明らかになるとともに、効果的な薬剤のスクリーニングやその他の多くの細胞性免疫による自己免疫疾患への応用が可能であるという点で大きな可能性を持っています。

 本研究は、当大学、京都大学、神戸大学などとの共同研究により実施され、成果は8月25日付けでオンライン科学雑誌「Nature Communications」に掲載されました。

発表論文

雑誌名:Nature Communications
論文名:Modeling of T cell-mediated autoimmune pituitary disease using human induced pluripotent stem cell-originated organoid
(ヒトiPS細胞から誘導したオルガノイドを用いた細胞性免疫による自己免疫性下垂体疾患モデル作成)

著者名:Keitaro Kanie, Takeshi Ito, Genzo Iguchi, Ryusaku Matsumoto, Keiko Muguruma, Shin Urai, Shuichi Kitayama, Hironori Bando, Masaaki Yamamoto, Hidenori Fukuoka, Wataru Ogawa, Shin Kaneko, and Yutaka Takahashi
DOI:doi.org/10.1038/s41467-025-63183-x
URL: https://rdcu.be/eCdG7

 

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